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アメリカと日本の結婚式の違い。ブライズメイド、バチェラー・パーティーって?

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Noren Portland読者の皆さん、こんにちは。ポートランドでフォトグラファーをしているKimiです。前回は、私が携わった日本人カップルの結婚式の様子を通じて、ポートランドで結婚式を挙げる魅力をお伝えしました。

では、アメリカで行われるアメリカ人の結婚式ってどんな様子なのでしょうか? 実際に出席した人でないとなかなか分からないものですよね。そこで、私のこれまでの経験から、日本との違いをまとめてみました。ただし、あくまで私の立ち会ったオレゴン州での事例に基づいています。地域や人が変われば制度や式も変わりますので、すべてがこの通りとは限らない、ということは予めご了承ください。

婚姻届について

日本では婚姻届を役所に提出すれば、法律上の結婚が成立しますが、アメリカではどうなのでしょうか。


ともに18歳以上であるということを前提として、まず必要なのがマリッジライセンス(Marriage License)の取得。郡(County)のオフィスで申請が可能です。ライセンスが取得できたら、司式者(Officiant)と証人2人を用意してセレモニーを行います。証人は両親であったり、友人でも可能です。司式者というのは日本では聞き慣れない言葉だと思いますので、後ほど詳しく説明します。


セレモニーと聞くと、大きなイベントを想像するかもしれませんが、簡易的なものでも構いません。一番簡単な方法だと、裁判所で行うこともできますし、司式者のオフィスで行うこともあります。そしてセレモニー後5日以内に、司式者と証人がサインしたマリッジライセンスを郡に提出すれば結婚が認められます。

司式者(Officiant)について

司式者とは、その名の通り「式を執り行う人」のことです。司式者がいないと結婚式を挙げることはできません。司式者になるにはライセンスが必要で、その内容は州によって変わります。日本のお式では男性が司式者をされることがほとんどですが、アメリカでは司式者になるのに性別は関係ありません。


実はライセンスの取得そのものは難しいものではありません。でも、誰にでもできるものと誤解して欲しくはないのです。やはり威厳のある人や神聖な者であるべきイメージが強い仕事です。誓いや結婚の意思を確認させる立場ですし、何より結婚する二人に対しての祝福の気持ちがある方がされるものです。また、進行や手順を分からない人がすると、間延びした式になりかねません。なので一般的には、人として信頼でき、実績や経験があって、お二人と同じ信仰の神職に就かれている方を選んで挙式は行われます。キリスト教の場合、大きく分けるとプロテスタントでいう牧師さん、カトリックでいう神父さんがそれに当たります。


ただし、単純にプロテスタント、カトリックというだけでなく、もっと細かく宗派は分かれています。さらに言うと、多民族国家であるアメリカには、様々な信仰を持つ人々が暮らしています。


私は、キリスト教に限らず、インド系の方のヒンズー教のお式、中国系の仏教式ウェディング、ベトナム系やイスラム教のお式にも出席してきた経験があります。どのお式もお二人の結婚の意思を確かめるものですが、挙式をするカップルの信じるものによって司式者が話す内容は変わります。色々な人種、カルチャー、宗教、考え方の人がいるアメリカならではで、どの挙式にも個性があり、オンリーワンです。特にポートランドは、様々な人種やカルチャーを受け入てくれる人が多い土地柄と風土なので、日本人である私自身も、ポートランダーと一緒に挙式を作るお仕事や撮影をさせていただいていけるのだと思っています。


また、宗教的な点に重きを置いて式を執り行うよりは、人との絆やその時間を楽しむ式をしたい方もいて、その場合は父親や友達にライセンス取得をしてもらい司式を頼むということもあります。無宗教のアメリカ人同士の結婚式や、国際結婚でお二人とも宗教が違うという場合に、日本の人前式のような感じで、カジュアルに兄弟や友人に司式者を頼む人もいます。

会場について

日本では、チャペルのある結婚式場やホテルで式を挙げることが多いですよね。ポートランドでも、ホテルで結婚式を挙げる人もいます。でも、日本によくあるような、パッケージ売りの結婚式に特化した「結婚式場」と呼ばれるような会場は、私の知る限りはありません。


それぞれが思い思いの場所で結婚式を挙げる。それがポートランドスタイルだと思います。たくさんの式に立ち会ってきた私が特にお勧めで、そして特にポートランドらしい挙式が、屋外での挙式。マウント・フッドやコロンビア渓谷など、豊かな自然が身近にあるポートランドだからこそですね。色々な目的に使える自然の中のイベント会場がポートランドの周りにはたくさんあって、もちろん結婚式場としても使われています。


ポートランドは雨が多いから、屋外の式で大丈夫なのかって? 実はポートランドでの結婚式の多くは、雨の少ない5~10月の間に行われているんです。もちろん、屋内の会場もたくさんありますから、天気が気になる方はそちらも選べます。

ご祝儀について

日本の結婚式で悩ましいもの、それはご祝儀。包む側も受け取る側も、いろいろと気を遣うものですよね。アメリカの結婚式には、日本のご祝儀のような文化はありません。その代わりに、Wedding Registryと呼ばれるシステムがあります。これは、結婚するカップルが予め「欲しいものリスト」を登録しておいて、式に参加するゲストそれぞれが、どれをプレゼントするかを選ぶというものです。最近では、すべてオンラインで登録も決済も完了し、商品も後日、新郎新婦のお宅に配送されます。百貨店や日用雑貨店には、Wedding Registryの手続きができる端末を備えたコーナーが設けられています。もらう側もあげる側も、まったく無駄がないこのシステム。日本にもあればいいのに、とよく思うのですが、どうして普及しないんでしょうか、不思議です。

ブライズメイドって?

アメリカの結婚式では、新婦のお世話係のブライズメイド(Bridesmaid)、新郎のお世話係のグルームズマン(Groomsman)を置くことがあります。通常、新郎、新婦それぞれに近しい友人や兄弟姉妹が務めます。ブライズメイドやグルームズマンの人数は特に決められてはいません。小規模な結婚式の場合はブライズメイドやグルームズマンを設けないこともあります。私の経験では、350人の大きな結婚式でブライズメイドやグルームズマンが8人ずつということもありました。


また、ブライズメイドの中で中心的な役割となる一人をメイドオブオナー(Maid of Honor)と呼び、通常新婦と一番関係の深い人が務めます。グルームズマンの中でその役割に当たる人はベストマン(Best Man)と呼ばれます。


ブライズメイドは式の間、新婦の傍についてお世話をするのですが、例えば移動するときにウェディングドレスの裾を持ってあげたり、ブーケを代わりに持ってあげたり、ということがあります。日本の挙式での介添えさんや、会場によってはメイクさんが兼任してくれるような身の回りのお世話をします。


グルームズマンの場合は新郎側のバチェラーパーティーのオーガナイズや式当日の新郎のお世話をします。新郎のライトハンドマンいった感じでしょうか。


ブライズメイドとグルームズマンは新郎新婦ともっとも親しい人が務める、日本で言うと友人代表のような位置付けだと思います。

バチェラー・パーティーって?

アメリカのドラマをよく見る方でしたら、バチェラー・パーティー(Bachelor Party)という言葉を聞いたこともあるかもしれません。新郎が独身最後の夜を同性の友人と過ごすパーティーのこと。男友達だけで連れ立って、ストリップを見に行くなんていうのが伝統的ですね。ちなみに新婦側の方はバチェロレッテ・パーティー(Bachelorette Party)と呼ばれます。


ドラマを見るとハメを外すイメージがあるかもしれませんが、現実にはわりと地味なことも多いです。さすがに結婚式直前は新郎新婦も忙しいですし、友人皆のスケジュールを合わせることも簡単ではないので、実際には結婚式の2週間前くらいに、皆の予定を合わせて行われるのが現実的です。私が実際に経験したポートランドでのバチェロレッテ・パーティーを例に挙げると、新婦の友人たちでDIY BARに集まって、飲みながらものづくりを楽しむ、ということがありました。


バチェラー&バチェロレッテ・パーティーで意外に定番なのが、皆で一緒にダンスレッスンを習いに行くことです。何故ダンスレッスンかって? 日本の結婚式ではあまり想像が付かないかもしれませんが、結婚式に限らず、アメリカのパーティーでは、ダンスがメインイベントになることが多いんです。それに備えて、ダンスレッスンを受ける、というのはすごく理にかなっていますよね。


ダンスは結婚式のクライマックス。トップバッターとして登場するペアが新婦とそのお父さん。その名も Father-daughter-dance!……そのまんまの名前ですね笑


でも、複雑な感情が交錯する父と娘が、手を取り合って踊るのは感動的な場面で、見入って涙ぐんでしまう人も多いんですよ。


続きましては、だいたい想像が付つくと思いますが、新郎とそのお母さんが踊る、その名も Mother-son-dance!……これもそのまんまですね笑


その2組のダンスを見届け、万雷の拍手の後で、ゲスト皆も一緒になって踊りだす、というのがアメリカの結婚式のクライマックスです。日本では想像が付かない光景ですよね。


私が見た、日本とアメリカの結婚式の違いをまとめてみました。世界は難しい状況にあって、結婚式のあり方も、もしかしたらこれから変わっていくのかもしれません。でも、幸せになるカップルを祝福する気持ちはずっと変わらないものだと思います。


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